【考察】cowboy like meに見るKaylorの別れ
※本記事はあくまで一個人の考察です。
お久しぶりです!
今回はアルバム『Evermore』収録曲「cowboy like me」について解説します。
最初、これは男性同士の恋愛を歌った曲だと思っていました。しかし聞いているうちに、カーリーや、彼女を題材にしたと思われる他の曲との共通点に気付きました。
mirrorball-taylor.hatenablog.com
この曲は、架空の恋愛詐欺師の物語にテイラーとカーリーの関係を重ね合わせ、結婚してしまったカーリーを批判しているように聞こえます。けれど怒りというより、深い悲しみに満ちているようです。
(私はカーリーを非難する意図は一切ありません。二人の間に何が起こったか、本人たちにしか分かりません。これはあくまで楽曲考察であり、歌詞のみを分析した結果です)
それでは解説していきます。
And the tennis court was covered up
With some tent-like thing
そしてテニスコートはテントみたいなもので覆われていて
And you asked me to dance
あなたは私をダンスに誘った
but I said, "Dancin' is a dangerous game"
でも私は言ったわ
「ダンスは危険なゲームよ」と
→Dancing with our hands tiedからの引用。キスゲートで抱き合い踊っていた二人は、写真を撮られたせいで悪い状況に立たされてしまいました。そのため「ダンスは危険なゲーム」だと言っています。
※Dancing with our hands tiedについては前記事参照。
I've got some tricks up my sleeve
私の袖には仕掛けがある
Takes one to know one
同類だから分かるわ
You're a cowboy like me
あなたも私のようなカウボーイなのね
→カーリーの結婚パーティーのテーマはカウボーイでした。
また、テイラーはカントリー出身なので、よくカウボーイのような格好をしていました。なので「あなたも私のようなカウボーイね」というわけです。
テイラーはこの曲について「二人の若い恋愛詐欺師が、金持ちから利益を得ようと豪華なリゾート地をぶらぶらしている間に恋に落ちる話」と説明しています。
この曲における恋愛詐欺とは、PRボーイフレンドを持つことの比喩だと思います。テイラーはセクシュアリティを隠して歌手や俳優などの彼氏を持っていました。カーリーもカミングアウトをしていませんでした。
「若い恋愛詐欺師(カウボーイ)」とは、キャリアのために本当の自分を隠す二人の隠喩ではないかと思います。
Never wanted love
愛なんて求めてない
Just a fancy car
高級車が欲しいだけ
Now I'm waiting by the phone
今は電話の側で待ってる
Like I'm sitting in an airport bar
空港のバーで座っているみたいに
→King of my heartの歌詞と対比になっています。
'Cause all the boys and their expensive cars
だってどんな男の子たちと彼らの高級車
With their Range Rovers and their Jaguars
Never took me quite where you do
あなたと同じ場所には連れて行ってくれないから
Say you fancy me, not fancy stuff
高価(fancy)なものに惹かれてるんじゃなくて、私が好きだと言って
しかし、cowboy like meでは「あなたは愛ではなく、結局お金や社会的地位が欲しかったのだ」と言っているように聞こえます。
また、置き去りにされたテイラーは彼女からの電話をずっと待っているようで、right where you left meに通じるものがあります。
Perched in the dark
暗闇の中で佇んで
Telling all the rich folks anything they wanna hear
金持ち連中に彼らが聞きたい台詞を聞かせる
Like it could be love
まるでそれが恋みたいに
I could be the way forward
どんな事も進んでやる
only if they pay for it
彼らが金を払ってくれる場合だけ
→PRボーイフレンドに通じる言及。
You're a bandit like me
あなたも私みたいな盗賊
Eyes full of stars
目にいっぱいの星を輝かせて
Hustling for the good life
良い人生を手に入れるためにいかさまを働く
→Call it what you wantでも、瞳の輝きが星に例えられています。
Starry eyes sparking up my darkest night
星のように輝く瞳が、私の最も暗い夜を照らしてくれる
Never thought I'd meet you here
ここで出会えるとは思わなかった
It could be love
これは恋なのかも知れない
We could be the way forward
私たちは前に進めるかも知れない
And I know I'll pay for it
その代償を払うのは私だと知ってる
→テイラーはカーリーのような相手と、エンタテイメント業界で出会えるとは思っていなかったようです。
しかし、二人が交際することは差別や周囲の反発、キャリアを築く上での困難などリスクがあります。また、テイラーはカーリーと別れたことで胸の痛みという代償を負いました。そのため「代償を払うことになると知っていた」と言っているのかも知れません。
And the skeletons in both our closets
私たち二人とも隠し持つ秘密は
plotted hard to fuck this up
計画を台無しにするよう仕組まれていた
→「クローゼットの中の骸骨(skeleton in the closet)」とは、評判に響くような秘密を意味する慣用句です。しかしクローゼットは「同性愛者であることをカミングアウトしていない状態」を示す言葉です。つまり「隠し持つ秘密」とは、クィアであることです。
And the old men that I've swindled really did believe I was the one
私が騙した年寄り男たちは、私こそ運命の人だと本当に信じていた
→テイラーと交際の噂があった年上の歌手や俳優たちを連想させます。
Now you hang from my lips
いまあなたは私の唇からぶらさがってる
like the Gardens of Babylon
バビロンの空中庭園みたいに
With your boots beneath my bed
あなたのブーツは私のベッドの下
Forever is the sweetest con
永遠は一番甘い詐欺だね
→「バビロンの空中庭園」とは古代ギリシア世界の七不思議の一つに数えられていますが、考古学上の証拠が見つかっていない幻の屋上庭園です。夢想的で美しいけれども、儚い二人の関係を象徴しているように聞こえます。
また「あなたのブーツは私のベッドの下」とはシャナイア・トゥエインの「Whose Bed Have Your Boots Been Under(あなたのブーツは誰のベッドの下にあるの」のリファレンスです。
「永遠は一番甘い詐欺だね」はNew years dayの歌詞を思い起こさせます。
You and me forevermore
あなたと私よ永遠に
しかし二人は最終的に一緒にいることができなかったので、「永遠」という言葉は甘い詐欺だったと言っているようです…。
And I'm never gonna love again
もう二度と恋はしない
I'm never gonna love again
もう二度と恋はしない
I'm never gonna love again
もう二度と恋はしない
→「もう二度と恋はしない」という言葉が三回繰り返されます。カーリーはテイラーと別れ、男性と結婚してしまいました。彼女を失って「もう決して恋には落ちたくない」と考えるほど心に深い傷を負ったテイラーの悲しみが感じられます。
この曲はハッピーエンドなのか悲しい結末なのか分かりにくい終わり方になっていますが、実際にあった事と関連しすぎないように曖昧にしているのではないかと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました!