【考察】テイラー・スウィフト『Reputation』はカーリー・クロスに捧げられたアルバムではないか
- はじめに
- 『Reputation』
- "プロローグ"
- "So It Goes..."
- "...Ready For It?"
- "End Game" (featuring Ed Sheeran and Future)"
- "Don't Blame Me"
- "Delicate"
- "Gorgeous"
- "Getaway Car"
- "King of My Heart"
- "Dancing with Our Hands Tied"
- "Dress"
- "Call It What You Want"
- "New Year's Day"
- おわりに
7/17 King of My Heartの項目を加筆
8/11 Don't Blame Meの項目を加筆
9/1 Gorgeousの項目を加筆
はじめに
注意:本記事に掲載されている内容は全てあくまで個人的な考察であり、推測です。
『Reputation(レピュテーション)』は、テイラー・スウィフト6枚目のスタジオ・アルバムです。2017年11月10日に発売され、世界中で450万枚以上の売り上げを記録しました。また、本作のスタジアムツアーはアメリカで最も収益を上げたツアーとして新記録を打ち立てました。
発売時から『Reputation』の楽曲は現在の恋人ジョー・アルウィンや、一時期交際報道されたトム・ヒドルストンに関するものではないかと言われてきました。
しかし私は最近『Folklore』や『Evermore』を聴き、彼女の過去のインタビューや発言を見直し「テイラーの恋愛対象は女性ではないか?(テイラーはレズビアンまたはバイセクシャルではないか?)」と思い始めました。
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そして同じ考えを持つ世界中のファンの理論を読み、『Reputation』は元BFFカーリー・クロスへの愛を綴った作品であり、二人は恋愛関係にあったのではないかという考えに至りました。
本記事では『Reputation』収録曲を元に、その理由を解説します。
テイラーの作品には、本人が公言している通り沢山のイースターエッグ(隠されたヒント)が仕掛けられています。それらはまるで、諸事情あってカーリーとの交際を公表できないテイラーがファンに向けて発した暗号のようです。彼女はそれを解読してほしいのではないかと思います。
※もちろん歌の解釈は人それぞれですので、あくまで一つの説としてお読みください。
それでは解説に移る前に、テイラー・スウィフトとカーリー・クロスについて簡単な紹介と、歌詞を読み解く上で重要になる二人のエピソードをまじえた年表をご覧ください。
テイラー・スウィフトとは
1989年12月13日生まれ。射手座。アメリカ合衆国ペンシルベニア州出身。幼少の頃にシャナイア・トゥエインの歌を聴いてカントリー・ミュージックに興味を持つ。12歳の頃からギターで作曲を始め、2005年頃からビッグ・マシン・レコードと契約(現在は移籍)。グラミー賞を11回受賞する世界的トップシンガー。
カーリー・クロスとは
1992年8月3日生まれ。獅子座。アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身。13歳の時、チャリティファッションショーでスカウトされる。14歳の時、ニューヨークのマンハッタンにアパートを借りモデル活動を開始。グッチやルイ・ヴィトンなど、数多くのブランドのランウェイや広告に起用されるスーパーモデル。2013年から2015年までヴィクトリアズ・シークレットの広告塔「エンジェル」を務めた。事業家・慈善活動家としても活躍。
テイラー&カーリーの大まかなできごと年表
2012年2月
Hey @taylorswift13 love the @voguemagazine cover! Your kitchen or mine? :)
— Karlie Kloss (@karliekloss) 2012年1月17日
テイラーがUS版『VOGUE』のインタビュー内で「モデルのカーリー・クロスが大好き。いつか彼女と一緒にクッキーを焼きたいわ!」とコメント。記事を見たカーリーがツイッターで「VOGUEのカバー、とても素敵だったね!私とあなたのキッチンどっちを使う?」と投稿。
2013年11月
ヴィクトリアズ・シークレット・ファッション・ショー(VSFS)でテイラーがライブパフォーマンス。カーリーはエンジェルとして出演。二人が実際に会ったのはこれが初めてでした。
2014年3月
Source: Instagram user karliekloss
テイラーとカーリーは二人でカリフォルニア州ビッグサーにロードトリップ。このとき撮られた沢山の写真が二人のインスタグラムに投稿されます。
後にテイラーはVOGUEの『テイラー・スウィフトに73の質問』内で「記念日に妻をどこに連れて行けばいい?」と聞かれ「おめでとう。ビッグ・サーがいいわよ」とコメント。
テイラー・スウィフトに73の質問 ─ ビバリーヒルズの自宅を公開。| 73 Questions - YouTube
2014年6月
REDツアーを12日に終了したテイラー、翌日すぐカーリーの家へ。
2014年8月
テイラーがローリングストーン誌のインタビューで自宅の「カーリーがいつも泊まる部屋」を紹介したことにより、二人が同棲しているという噂が広まります。その部屋のベッドサイドにはカーリーのお気に入りのヘルシースナックが常備され、カーリーの写真が飾られていたそう。
2014年10月30日
テイラーとカーリー、二人でバスケットボール観戦。
2014年11月23日
Youtube Taylor Swift and Karlie Kloss at behind AMAs 2014. より
アメリカンミュージックアワード授賞式。抱き合ったり、膝の上に座るなど仲睦まじい二人の姿が放送されます。
2014年12月4日
Kaylor史上最大の事件。通称・キスゲート(Kissgate)が起きる。
※Kaylor=テイラーとカーリーのカップルネーム
ロックバンド「The 1975」のコンサート会場客席にいたテイラーとカーリーが、キスしているようだと話題に。観客が撮った写真や動画がSNS上に拡散され、「親友ではなく恋人だった!?」と各所で報道されました。テイラーの広報担当者は二人の交際を否定。
2014年12月9日
youtubeVSFS2014開催。このショーは11月に録画されたものでした。テイラーは再びライブパフォーマンスし、カーリーと手を繋いでステージに入場。
2015年2月13日
テイラーとカーリーがUS版VOGUEの表紙に。特集インタビューとロードトリップをイメージした二人の写真が大々的に掲載されました。(一部のファンの間でウェディングフォトのようだと話題に)
On the Road with Best Friends Taylor Swift and Karlie Kloss | Vogueより
インタビュー内でカーリーは「LAからロンドンに移住しかけていたテイラーを、ニューヨークに引っ越すよう説得した」とコメント。(実際にテイラーは2014年上半期にカーリーが住むニューヨークに引っ越しました)
ちなみに…2019年8月にテイラーがアルバム『Lover』をリリースした際、ニューヨーク・タイムズに掲載された広告↓
(拙訳)
愛する人へ。
そんな状態でいるときは、話しかけられないわ。
あなたが、私があなたの好きな街じゃないみたいに、窓の外をじっと眺めているときはね。
私はニューヨーク・シティなのよ。
愛を込めて、テイラー
上記は『Lover』収録曲"False god"のフレーズ。この曲には「あなたはウェスト・ビレッジ。まだ私のためにそうしてくれているのね」という歌詞もあります(ウェスト・ビレッジは当時カーリーが住んでいた場所)。恋人のジョーはイギリス人のはずでは…。
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2015年2月17日
Source: Taylor Swift History ❄️
オスカー・デ・ラ・レンタのファッションショーにペアで出席したテイラーとカーリー。なぜ客席にいるのか質問されたテイラーは「私の広報担当者は怒るでしょうね」とコメント。
2016年8月3日
距離が離れていたのか、カーリーの24歳の誕生日をフェイスタイムでお祝いしたテイラー。カーリーのタブレットの側には、テイラーから贈られたと思われる花束が。
以上、大まかな出来事年表でした。その後も二人の歴史は続きますが、今回は割愛。2017年2月頃から『Reputation』発表の11月頃まで、テイラーは公の場から姿を消していました。その間も二人の交際は続いていたと思われます。
二人が別れた時期は不明です。2018年8月にレピュテーション・スタジアム・ツアーの客席でカーリーが目撃されたのが、彼女たちが揃って公の場に現れた最後でした。
カーリーは2018年10月に実業家のジョシュア・クシュナーと結婚。テイラーは「先約があったから」との理由で、挙式にも2019年6月に行われた結婚パーティーにも出席しませんでした。
それでは『Reputation』アルバムの解説に移ります。
...Are you ready for it(準備はいいですか)?
『Reputation』
本記事では『Reputation』とカーリー・クロスとの繋がりだけではなく、作品に見られるクィア表象(同性愛的なモチーフ)も合わせて解説します。歌詞の日本語訳は全て筆者によるものです。
"プロローグ"
『Reputation』CDを百貨店「ターゲット」で購入した人限定で、テイラーによる長文のプロローグが配布されました。
…このアルバムが出れば、ゴシップ・ブログが一曲一曲について徹底的にリリックを調査して、男性と結びつけようとすることでしょう。まるで音楽のインスピレーションは親子鑑定みたいに単純で基本的なものであるかのように。その間違った理論を裏付ける写真のスライドショーがいちいち存在するんでしょう。(中略)
私たちは誰かのことを知っていると思っていますが、実際にはその人が私たちに見せようとしているある側面しか私たちには見えていません。
これ以上の説明はもういらないでしょう。
それは評判(レピュテーション)でしかないのです。
(以下の記事から引用)
テイラーは、彼女と男性を結びつけようとする記事は間違った理論と言い切っています。膨大な数の記事ひとつひとつに目を通すことは難しいはずなのに、なぜそう言い切れるのでしょうか。それは、彼女の恋人が女性だからではないでしょうか。
「私たちは誰かのことを知っていると思っていますが、実際にはその人が私たちに見せようとしているある側面しか私たちには見えていません」
"So It Goes..."
アルバム7曲目「So It Goes...」を最初に紹介するのには理由があります。この曲に、アルバムのエッセンスが凝縮されているように思えるのです。
まず『Reputation』の宣伝写真をご覧ください。
この画像を見て、何か違和感を感じたことはありませんか?
私はあります。少し表情が不自然なような…顔の右半分と左半分が合っていないように見えるのです。
では、この写真に先ほど紹介したVOGUE表紙のカーリーを重ねてみましょう。
はい、かなり合致します。
これはおそらく、テイラーの顔とカーリーの顔を合成した写真です。
ここで「So It Goes...」の歌詞を見てみましょう。
see you in the dark
暗闇にあなたが見える
all eyes on you , my magician
注目のまとよ 私のマジシャン
all eyes on us
私たちは注目のまと
you make everyone disappear
あなたはみんなを消し去って
and cut me into pieces
私を細かいかけらに切り分ける
上記はテイラーの携帯ゲーム『The Swift Life』(現在はサービス終了)で使用されていた「So It Goes...」のTaymoji(絵文字)の一部です。マジック、パズルのピースになったテイラー、カットされるハートなどがあります。
サビを見てみましょう。
And all the pieces fall
そして全てのかけらが
right into place
収まるべき場所に収まって
getting catch up in a moment
一瞬のうちに夢中にさせる
ここでも「かけらが合わさる」ことについて言及されます。この曲は、切り取られてパズルのように組み合わさった二人の写真を意味していたのです!つまり、テイラーとカーリーは手品師のイリュージョンのように断片に分かれて一つになる。まるで二人が一心同体であることを表現しているようです。
『Reputation』CDディスクのあるバージョンは割れた鏡のようなデザインになっていました。
"...Ready For It?"
この曲はMVが重要だと感じます。
MVはサイバーパンクな世界観の物語になっています。黒いフードを被ったテイラーが、地下のガラスの檻に閉じ込められている白いテイラーと対峙します。白いテイラーは科学や魔法の力で反抗し、最後には檻を破壊します。"本物の"テイラーは幽閉されていた方だったのです…。本物のテイラーが機械でできた偽物のテイラーを倒し、光を浴びる姿で物語は終わります。
Youtube Taylor Swift - …Ready For It? より
ガラスの檻は「ガラス・クローゼット(glass closet)」を連想させます。(※ガラス・クローゼット・・・LGBTQであることが「公然の秘密」「みんな気付いている状態」だが、本人はカミングアウトしていない状態を指す用語)
つまり、幽閉されたテイラーは「女性を愛するテイラー」、黒いテイラーは「世間がイメージする(異性愛者だと思われている)テイラー」なのです。
カミングアウトしたいテイラーはクローゼットから出ようと戦いますが、自身のパブリック・イメージがそれを許しません。
Youtube Taylor Swift - willow (Official Music Video)より
ガラス・クローゼットのイメージは「willow」など他作品のMVにも登場します。
Youtube Taylor Swift - Lover より
この歌に登場する彼=PRボーイフレンド(パブリックイメージのために契約する偽装彼氏)、あなた=カーリーなのだと思います。(「あなた」に呼びかける歌詞は愛情がこもっているのに対して、「彼」を表現する言葉は幽霊、復讐、看守…などあまり良くないイメージの単語なので)
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"End Game" (featuring Ed Sheeran and Future)"
It's like your eyes are liquor, it's like your body is gold
あなたの瞳はまるでリキュール、体はゴールドのよう
→『Reputation』以降テイラーの歌詞に頻出するゴールドは、カーリーを象徴する色です。
カーリーは獅子座。星座カラーは金色です。また、VSFSやレッドカーペットなどで彼女がよく身にまとう色がゴールドです。
そしてテイラーはたびたびカーリーのことを太陽(sunshine)と呼んでいました。太陽を象徴する色もまた、ゴールドです。
Youtube Taylor Swift - End Game ft. Ed Sheeran, Futureより
→テイラーは女性とキスしています。このMV全体が彼女のセクシュアリティを意図的に暗示しているのではないかと思います。
Youtube Taylor Swift - End Game ft. Ed Sheeran, Futureより
→彼女が歌っているのはクローゼットの中です。
Youtube Taylor Swift - End Game ft. Ed Sheeran, Futureより
→レインボーカラーはLGBTQプライドを象徴する「レインボーフラッグ」の色で、セクシャルマイノリティーのシンボルといえます。
テイラーはツアーのステージでもレインボードレスを着ていました。
"Don't Blame Me"
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Lord, save me
主よ、お救いください
my drug is my baby
私のドラッグは私の恋人なの
I'll be usin' for the rest of my life
残りの人生、ずっと使い続けるわ
And baby, for you, I would fall from grace
あなたのためなら、神の恩寵からこぼれ落ちてもいい
Just to touch your face
ただあなたの顔に触れたい
→これらの歌詞はとても同性愛的で、かつ悲しく聞こえます。「神の恩寵からこぼれ落ちる」とは宗教上の罪を意味します。アメリカにも今だに同性愛は罪だと主張し、LGBTQを抑圧する人々がいます。
米結婚式場、同性・異人種カップルを拒絶 「キリスト教に反する」 - BBCニュース
テイラーが白人男性と交際しているのなら、なぜこれほどの罪の意識を持つ必要があるのでしょうか?
また、この曲のサビはゴスペル調になっています。メイキング映像でテイラーは「宗教的(religious)にしたい」とコメントしていました。この曲にはクィアであることに対する彼女のキリスト教的な罪悪感や、不安が反映されているように思います。
しかし「残りの人生、ずっと使い続けるわ」という言葉には、彼女の覚悟が表れているようです。
Something happened for the first time
初めて会った瞬間、何かが起こったの
In the darkest little paradise
暗黒の小さな楽園で
Shakin', pacin', I just need you
揺れて、ペースを合わせて
ただあなただけが欲しい
→テイラーとカーリーが初対面したのはヴィクトリアズ・シークレット・ショーでした。「暗黒の小さな楽園」は、ショーのモデルたちが待機する暗いステージ裏を連想させます。また「揺れて、ペースを合わせて」というのは、ランウェイで歩調やリズムを合わせる二人を思い起こさせます。
Source: Instagram user karliekloss
I once was poison ivy, but now I'm your daisy
私はかつては毒草だったけど、今はあなたのデイジーよ
→ビッグサーのロードトリップでカーリーが頭に差していた花がデイジーです。
→テイラーはアルバムブックレットにカーリーの花とそっくりな花の絵を描いています。
Source: Instagram user karliekloss
My name is whatever you decide
私の名前はあなたが好きに決めていい
And I'm just gonna call you mine
私はあなたを私のものと呼ぶわ
→上記の写真で、カーリーは砂に書いたテイラーの名前の綴りを間違えています。("名前は好きに決めていい")
Trip of my life
人生のトリップ
→ドラッグによるトリップと、ロードトリップをかけています。
"Delicate"
This ain't for the best
ベストな状態じゃないわ
My reputation's never been worse, so
私の評判はこれまでになく悪くなってる、だから
You must like me for me..
あなたには私を好きでいてほしい
Is it cool that I said all that?
あんなこと言って大丈夫だった?
Is it too soon to do this yet?
こんなことするのはまだ早すぎる?
'Cause I know that it's delicate
これはデリケートなことだから
→カーリーと公に交際したいけれど、二人が受ける反発を想像するとなかなか踏み切れない。なので「あんな事言って大丈夫だったかな?」「こんなことするのはまだ早いかな?」と不安になってしまう心が表れているようです。
Dark jeans and your Nikes, look at you
濃い色のジーンズにナイキシューズのあなた、なんて素敵なの
Oh damn, never seen that color blue
すごい、そんな青い色は見たのは初めて
Just think of the fun things we could do
あなたとできる楽しいことを色々考えちゃう
→カーリーはナイキのモデルでした。
また、彼女の瞳は緑がかった神秘的な青色です。
Third floor on the west side, me and you
ウェストサイドの三階で、二人きり
Handsome, you're a mansion with a view
本当にハンサム、絶景が見渡せる豪邸みたい
Do the girls back home touch you like I do?
地元の女の子も私みたいにあなたに触れたりする?
→アルバム発売当時、カーリーが住んでいたのはウェストサイドにある家でした。彼女の家で過ごすテイラーの姿がたびたびパパラッチされています。カーリーの家は二階建てでしたが、テイラーは何度も「愛する人と屋根の上で過ごす」ことについて歌っているので、屋根を含めると三階です!(笑)
また、カーリーの地元は2歳から暮らしたミズーリ州セントルイスです。
→赤い丸をつけた箇所にご注目ください。「JOE'S DELI(ジョーのデリ)」の看板がかかっていますが、テイラーは素通りします。
そのまま「The Golden Gopher」というバーに入っていきます。(ここでもゴールデン!)
On the Road with Best Friends Taylor Swift and Karlie Kloss | Vogueより
→金色の車の上で華麗にポーズをきめるテイラー。Vogueの特集記事でテイラーとカーリーが乗っていたのも金色の車でした。
→このMVは「魔法のメモの力で透明になったテイラーが自由を手に入れ、愛する人に会いに行く」という物語になっていますが、ラストでテイラーが入るバーのカウンターにはカーリーに似た女性がいます。(前から5番目)
"Gorgeous"
この曲はカーリーと出会ったばかりの心境が歌われているようです。
Taylor Swift - Gorgeous (Lyric Video)より
また、このMVにも割れた鏡(または万華鏡)のような演出があります!
You should think about the consequence
ちゃんと考えるべきよ
Of your magnetic field being a little too strong
あなたは人を惹きつける磁力がちょっと強すぎるわ
→テイラーとカーリーは磁力で引き合うようによくくっ付いていました。
You should take it as a compliment
褒めてると思うべきよ
That I'm talking to everyone here but you
あなた以外のみんなとここで話してること
And you should think about the consequence
後先考えた方がいいわ
Of you touching my hand in a darkened room
暗い部屋で私の手に触れたこと
→暗い部屋はキスゲートのコンサート会場を連想させます。
You're so gorgeous
あなたって本当にゴージャス
I can't say anything to your face
顔を見ると何も言えなくなっちゃう
→ゴージャスはテイラーが女性を褒めるときによく使う形容詞です。歌手のソフィー・モンクにインタビューを受けた際も"You are so gorgeous, it’s hard to talk to you!"(あなたってすごくゴージャスだから、話すのが難しいわ!)とコメントしていました。
If you got a girlfriend, I'm jealous of her
あなたに彼女がいるなら嫉妬しちゃう
But if you're single that's honestly worse
でもシングルなら、正直もっと最悪
→もしカーリーに彼女がいたら、テイラーは嫉妬するだけで済みます。しかしもし誰とも付き合っていない場合は、性的指向が読めません。たまたま異性の恋人がいないだけで女性は恋愛対象ではない可能性があるので、それは最悪です。
Ocean blue eyes looking in mine
海のように青い瞳が私を見つめてる
I feel like I might sink and drown and die
そのまま溺れて死んでしまいそう
→再び青い瞳についての言及。
And I'm so furious
すごく怒ってるのよ
At you for making me feel this way
私をこんな気持ちにさせるんだもの
You make me so happy it turns back to sad
私をすごく幸せな気持ちにして、次の瞬間悲しくさせる
There's nothing I hate more than what I can't have
手に入れられないものほど憎いものはないから
You are so gorgeous it makes me so mad
あなたって本当にゴージャス、そのせいで腹が立つの
→カーリーがもし男性しか恋愛対象でないなら、テイラーは絶対に付き合うことはできません。なのにゴージャスな彼女に惹かれる気持ちが止められないので、怒りすら覚える…という意味だと思います。
"Getaway Car"
On the Road with Best Friends Taylor Swift and Karlie Kloss | Vogueより
カルヴィン・ハリスと別れるためにトム・ヒドルストンを口実にした件について歌っているようです。
I wanted to leave him
彼の元を離れたかったの
I needed a reason
理由が必要だった
While he was runnin’ after us, I was screamin', "go, go, go!"
彼が追いかけてきて、私は「早く!飛ばして!」と叫んだ
But with three of us, honey, it's a side show
けれど3人もいたら、まるで見世物
And a circus ain't a love story
サーカスはラブストーリーにはならないのよ
And now we’re both sorry
今は二人とも後悔してる
→トムとテイラーの交際は「まるで見世物」のような騒ぎになってしまい、カルヴィンも追い討ちをかけるように彼女を非難しました。パブリックイメージのための派手な交際は結局上手くいかない…という意味に聞こえます。
"King of My Heart"
And all at once, you are the one I have been waiting for
たちまち気付いたの、あなたこそずっと待ち望んでいたものよ
King of my heart, body and soul, ooh whoa
私の心の王様、そして体と魂の
→王様とはもちろんカーリーのこと。カーリーは獅子座。ライオンは百獣の王です。そして『The Swift Life』の「King of my heart」の絵文字の中には、ハート型のライオンがありました。
また、VSFS 2014でテイラーとカーリーが歩いたときのランウェイはチェスボードのような模様をしていました。このフレーズは、カーリーがチェスのキングのように見えたことともかけていると思います。(そして後の歌詞で、テイラーはアメリカン・クイーンです!)
I’m perfectly fine, I live on my own
私は完璧に大丈夫、一人で生きていける
I made up my mind, I'm better off being alone
決心したの、孤独でいた方がいいって
→前の失恋を引きずっていたのか、しばらく一人でいようと考えていたテイラー。
We met a few weeks ago
私たちは数週間前に出会ったばかり
Now you try on calling me, baby, like trying on clothes
今は服を試着するみたいに電話をかけてくるあなた
→カーリーに出会い心境に変化が訪れます。カーリーはファッションモデル、服を何着も試着する職業です。
So salute to me I'm your American Queen
だから敬礼して、私はあなたのアメリカン・クイーンよ
→カーリーはVSFSのインタビューでテイラーについて「彼女はアメリカン・ドリームそのもの!」と語っていました。作曲段階では、この歌詞はアメリカン・ドリームとなっていました(メイキング映像より)。
And you move to me like I'm a Motown beat
踊って、私がモータウン・ビートみたいに
And we rule the kingdom inside my room
二人で私の部屋の王国を支配しましょう
→テイラーはカーリーと映ったinstagramの投稿に"Motown dance party(モータウン・ダンスパーティー)"というキャプションを入れていました。
また、二人が支配するのは街やどこか広い場所ではなく、あくまで「テイラーの部屋の王国」です。これは彼女たちがあまり二人で外出できないこと、男女の有名人カップルのようには交際を表に出せないことを意味しているようで、どこか切ない響きがあります。
Cause all the boys and their expensive cars
だってどんな男の子と彼らが持つ高級車
with their Range Rovers and their Jaguars
Never took me quite where you do
あなたと同じ場所には連れて行ってくれないから
→そう、男の子には無理なのです。
Your love is a secret I'm hoping, dreaming, dying to keep
あなたの愛は私が望み、夢見て、死ぬほど守りたいと願う秘密
→文字通り、二人の交際は秘密でした。
Up on the roof with a school girl crush
学校で女の子が憧れるような女の子と屋根に上って
Drinking beer out of plastic cups
プラスチックカップでビールを飲む
→girl crush(ガール・クラッシュ)は一般的に「女性が憧れる女性」のこと。そして、カーリーは2015年から2年間ニューヨーク大学に通っていたので、学生でした。
バスケットボール観戦中に二人が飲んでいたのがプラスチックカップに入ったビールでした。
→"Call it what you want”のMVには屋根の上で過ごすテイラーの動画に女性の足が映り込んでいます。(私には男性の足に見えません…)
"Dancing with Our Hands Tied"
まさにキスゲートについての歌!
I, I loved you in secret
私、内緒であなたのことを愛していたの
First sight, yeah, we love without reason
一目見て、二人とも理由もいらず恋に落ちたよね
Oh, twenty-five years old
ああ、25歳の頃のこと
Oh, how were you to know, and
あなたはどう思っていたの?
→キスゲートが起きた9日後、世間に騒がれている中テイラーは25歳になりました。
My, my love had been frozen
私の愛は凍りついていた
Deep blue, but you painted me golden
深い青色に、けれどあなたがゴールドに塗り替えてくれた
Oh, and you held me close
そして私をしっかり抱きしめてくれたわ
Oh, how was I to know? I–
あのことを知るはずなかった
→再びゴールドカラーへの言及。
"How was I to know?"は直訳すると「どうやって知り得たというの?」という意味です。翌日から二人の関係が大々的に報道されることは、あの夜知るよしもなかった…という意味だと思います。
I could've spent forever with your hands in my pockets
あなたの手をポケットに入れたまま、いつまでも過ごせたのに
Picture of your face in an invisible locket
透明なロケットの中にあなたの写真を入れていたわ
You said there was nothing in the world that could stop it
「世界中の誰も私たちを止められない」とあなたは言ったけど
I had a bad feeling
悪い予感がしていた
→交際を秘密にしていたことの隠喩。また、当時テイラーは男性の交際相手がいなかったので、カーリーの顔写真入りロケットを付けることができなかったのだと思います(誰の写真が入っているの?と聞かれてしまうため)
But we were dancing
けれど私たちは踊ったよね
Dancing with our hands tied, hands tied
手をつないで、固くつないで
Yeah, we were dancing
そう、私たちは踊った
Like it was the first time, first time
まるで初めてダンスした日のように
→自分たちの写真や動画を撮る人たちに薄々気付いていたテイラーは、悪い予感がしていたのかも知れません。それでも二人は手を固くつないで踊り続けました。
I, I loved you in spite of
私、あなたを愛しながらも
Deep fears that the world would divide us
深い恐怖があったわ
世界が私たちを引き離してしまうんじゃないかって
→差別や周囲の反発を受け、別れさせられてしまうことへの恐怖。
I'd kiss you as the lights went out
明かりが落ちたときにキスをした
Swaying as the room burned down
部屋が燃え尽きるように揺れていて
I'd hold you as the water rushes in
水が押し寄せてくるようで、ただあなたを抱きしめていた
→「燃え尽きるように揺れる部屋」は、沢山の人が跳んだり踊ったりして揺れているコンサート会場を連想させます。
スタジアム・ツアーでこの曲を歌うテイラーの映像は、他の曲と比べてどこか悲しげで切なくなります。
"Dress"
mirrorball-taylor.hatenablog.com
Out secret moments
私たちの秘密の時間
In your crowded room
混雑した部屋で
They've got no idea
みんな想像もしないでしょうね
About me and you
あなたと私がどんな関係か
Anyone thinks that they know us
みんな私たちを知ってると思い込んでいるけど
But they know nothing about
実際は何も知らない
→テイラーとカーリーは、人が多く集まる場所にたびたび二人で出向いていました。テイラーはこの時期、ジョーと二人でイベントなどに参加していません。それどころか交際をマスコミなどに知られないよう隠していました。なので、この歌詞はBFFとして知れ渡っていたカーリーの方が当てはまります。("みんな私たちを知ってると思い込んでいる")
Source: let your colors blind their eyes Tumblr
Made your mark on me
あなたのマークを私につけて
A golden tattoo
黄金のタトゥーを
→ドレイクの誕生日パーティーで、二人はお揃いの金色のタトゥーシールをつけていました。
All of this silence and patience, panic, and desperately waiting
全ての静寂、忍耐、パニック、そして必死で待ち続ける時間
My hands are shaking from all this
そのせいで私の手は震えてるの
→なぜテイラーは手が震えるほど何かを耐え、パニックになり、期待を必死で隠そうとしなければならないのでしょう。
それは、これが周囲に認めてもらえない関係だからではないでしょうか。「私の広報担当者は怒るでしょうね」の言葉を思い出します。
Say my name and everything just stops
私の名前を呼んで、世界の動きを止めて
I don't want you like a best friend
親友としてあなたが欲しいんじゃないの
Only bought this dress on you could take it off, take it off
あなたに脱がせてもらうためだけに買ったドレスなの、脱がせてよ
→テイラーとカーリーはまさに親友同士と言われていました。
→"Look What You Made Me Do"のMVでは、"You Belong With Me"時代のテイラーが登場します。彼女が着ているTシャツにはジジやセレーナなどBFFの名前が書かれていましたが、カーリーの名前が無かったので「テイラーとカーリーは仲違いした!?」と一時期騒がれました。親友として欲しいわけじゃない(恋人として求めている)ので名前がなかったんですね。
Your buzzcut, and my hair bleed
あなたのバズカット、私のブリーチした髪
Even in my worst times
たとえ最悪なときでも
You could see the best of me
あなたは私の最高の部分を見てくれた
→"buzz cut"はスペースを入れると「丸刈り」という意味ですが、この歌詞は「早く(buzz)切った(cut)」という意味にも読み取れます。2016年のメットガラで、カーリーはワインをこぼしドレスを急いで切りました。その時、テイラーは髪をブリーチしていました。
→「テイラー・スウィフト: レピュテーション・スタジアム・ツアー」の"Dress"演奏時に、テイラーが敬意を表したダンサーのロイ・フラーはレズビアンでした。
"Call It What You Want"
mirrorball-taylor.hatenablog.com
この曲は"Call It What You Want"ではなく"Karlie, What You Want(カーリー、何が欲しい?)"と歌っているように聞こえます。
↓MVの仕掛けについては別記事にまとめました。
mirrorball-taylor.hatenablog.com
→ライブではよりはっきりKarlieと歌っているように聞こえます。
My baby's fit like a daydream
私の恋人は夢のように魅力的
→fitはスラングで「魅力的」という意味ですが、「体が引き締まっている」「健康的」という意味もあります。カーリーがフィットネス(fitness)に熱心なモデルとして注目されている事とかけている可能性が高いです。
→カーリーの決めポーズ!
→上記はテイラーが恋人に"Call It What You Want"を弾き語りしている動画です。1:10頃に二回目の"I did one thing right"を歌っているのは、カーリーの声のように聞こえます(テイラーが足をあげたとき)。まるで「カーリー、歌って!」と合図しているようです。また、1:30頃にカーリーらしき女性が"Yeeees(イエース)"と言う声が入り込んでいます。
これはテイラーのドキュメンタリー『ミス・アメリカーナ』の38:35頃のシーンです。
"New Year's Day"
Don’t read the last page
最後のページは読まないで
But I stay when it's hard or it's wrong or we're making mistakes
でも困難なときも、これが間違っていても、二人が過ちをおかしたとしても、私はここにいる
Hold on to the memories, they will hold on to you
どうかこの思い出を忘れないで
あなたと私をつなぐものだから
Please don't ever become a stranger whose laugh I could recognize anywhere
お願いだからどうか他人にならないで、きっとどこにいてもあなたの笑い声に気付いてしまうわ
→これらの歌詞には胸を締め付けられます。この秘密の関係は公の記録には残せないので、どうか二人をつなぐ思い出だけは忘れないで、と語りかけているようです。それでもニューイヤーズ・デーのような重要な日をこれからもずっと一緒に過ごしていきたい…という静かな祈りを感じます。
おわりに
今『Reputation』を聴いて正直に思うことは「テイラーは本当にカーリーのことが好きだったんだなあ…」ということです。"Delicate"や"Call It What You Want"などの楽曲はどこか寂しげでありながらも幸せそうで、愛情に溢れています。
あるレズビアンのYoutuberがテイラーの作品についてこう語っていました。「彼女の曲を聴くととても共感する。なぜならテイラーはいつも秘密の恋、周囲に隠さなければならない関係、罪悪感、でもどうしても好きになってしまう気持ち、好きな相手が自分を"親友"としか思っていない辛さ、やっとパートナーを見つけたときの喜びなど、同性愛者が経験するのと同じ感情を歌っているから」
テイラーのセクシュアリティを決めつけるつもりはありませんが、彼女の作品に共感する多くの同性愛者の人々がいることは確かです。テイラーはクィアではないかと考え始めたとき、自分でも半信半疑でした。しかしクィア的な視点で解釈し始めたことで「やっと彼女の作品の意味が繋がった!」という喜びがありました。そしてテイラーの才能と芸術性に改めて驚かされました。その感動を皆さんと分かち合いたくて、この記事を書きました。また何か気付いたことがあったら追記するかも知れません。
『Reputation』は、まさに秘めた愛、そして世間の「評判」と個人がどう折り合いをつけるかという戦いの記録なのだと思います。こんなにも自身の葛藤と向き合い、それを素晴らしい作品に昇華してくれたテイラーというアーティストを心から讃えたいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
参考資料:
Reputation is about Karlie Kloss - Google スライドby @oohlookwhatyou(Twitter)
No copyright infringement intended.
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